~意外に多いウルトラローコストケイタイの部品点数~
ナビアンでは、話題のULCH"MOTOROLA MOTOFONE F3"分解、主要採用部品や部品点数などについて分析した。(レポートのPDFファイルはこちら)
MOTOFONE F3は、E Ink社の電子ペーパー"Clear Vision"とTEXAS INSTRUMENTSのトランシーバ ICとベースバンド ICをワンチップに集積化した"LoCosto"を採用することで、超薄型・超低価格を実現した。
インドの携帯電話通販サイト "UniverCell"(http://www.univercell.in/)における販売価格は、1,599ルピー(日本円で約4,535円)となっている。
厚みは、同社の携帯電話では最薄となる9mmである。
利用周波数はGSM900MHzとGSM1800MHzのデュアルバンドで、音声以外の通信機能としてはSMS(Short Message Service)機能を備えるシンプル端末となっている。
話題の電子ペーパーの視認性は良好だが、残像が強い為、違和感を覚える向きもありそうだ。
MOTOFONEの機能は、筐体とほぼ同一面積のマザーボードとコネクタをによって接続されたサブ基板に集約されている。
マザーボード片面にE Ink社の電気泳動ディスプレイ"Clear Vision"とキーパッド、その裏面にディスプレイ駆動回路などが設けられている。
サブ基板は、マザーボードに両面テープで接着された金属板上にねじ止めされ、コネクタを介してマザーボードと接続されている。
ディスプレイ及びキーパッドを除く携帯電話の主要機能は、サブ基板に集約されている。
サブ基板は両面実装となっており、各面ともシールド用の金属ケースで覆われている。
下記の写真は、シールドケースを外した状態のもの。
主要部品は、Skyworks SolutionsのTX Module(アンテナスイッチとパワーアンプのモジュール)、TEXAS INSTRUMENTSのトランシーバとベースバンドのシングルチップ"LoCosto"、TEXAS INSTRUMENTSのパワーマネージメントLSI、Flash Memory等である。
このサブ基板に実装されている部品点数は、半導体・受動部品・機構部品(コネクタ・マイク)含めて、246個である。
マザーボードには51個の部品が実装されており、MOTOFONE全体の部品点数は、297個となる。(但しマザーボード上に樹脂封止部が2箇所あり、この部分の部品カウントはしていない。電子ペーパーの駆動回路の一部と推定される)
297個という部品点数は、GSM端末としては平均的数値に近く、シングルチップソリューションを採用しウルトラローコストを目指した端末としては、やや部品点数が多いと言えよう。
因みに、2003年に弊社が分析したNinbo BirdのモノクロディスプレイのデュアルバンドGSM端末"S288"の部品点数は269個で、MOTOFONEよりも一割程度少ない。
当時のS288の小売価格は、中国で約19,000円だった。
現在4,535円のMOTOFONEはS288の4分の1の価格ということになる。
GSM携帯電話の価格低下は、半導体やモジュールの集積化による部品点数の減少によるコストダウンよりも、個々の部品単価の下落に拠るところが大きいと言えそうだ。